ひょうし/小説を書こう
TITLE.(1)
作:まかろん/大人 女子
注意!

この話は同性愛表現が出てきます!!
苦手な人はブラウザバック!!


……………………


「綺麗。」

つい、口走ってしまった。
そうすると彼女は笑って空白の言葉を返す。
恥ずかしさで私はフラフラと倒れ込む。
この世の終わりだと思った。
彼女は淡い色のレースで繕われたドレスをその細く白い指でつまむ。
彼女の足先は酷く透明な水に着地するとそのまま飲み込まれていく。
まるで時間が止まったような光景。
女神だ。私は息を呑んだ。

私はひたすらにカメラを構え、シャッターを切る。
彼女を捉えたレンズに夏の煌びやかな光が乱反射を繰り返す。整った横顔が水面越しに微笑みを浮かべた。
跳ねる鼓動に返事をするように微笑み返す。


そう、私はきっと、彼女に惚れ込んでしまったのだ。


「そろそろ?」
清々しい水音をはねらかしながら彼女はふわりと回る。

「そうだね。」
私は相対して静かに返事をする。

「君の番?」
連なるように彼女の動きが止まる。


「いいよ、私は。」
「だめだよ。」

静かな押し問答。彼女は私のカメラをそっと私から取り上げた。そしてまたわざとらしく笑う。
「ねえ、撮ろうよ」
忌々しい笑顔だ、私のものでもない癖に。
顔にゆっくり熱が上がっていくのを感じる。

彼女はそれを感じ取ったのか私に顔を近づけた。
「ねえってば。」
楽しんでいる顔だ。
私を弄んでいる?
そう思うと喉元まで酷い怒りが込み上げた。

…込み上げたのだが。

「わかったから、離れてよ。」
そっと目を背けて彼女を軽く押しのけた。
やはり私は彼女の笑顔に勝てやしないのだ。

「やった。」
彼女が耳に髪の毛をかけると露わになるピアス。また鼓動が一段と高鳴る。
彼女の仕草全てにときめいてしまう自分が憎たらしい。それをわかっていて行動する彼女も。

不気味だ。どうしてなのだろう。
頭では理解が出来ないはずなのに彼女が好きで好きで堪らない。
愛しているのではないかと錯覚する度に視界がぐらつく。
ふわりと片脚があがると私は後方に重心を預ける。
こちらをみあげるカメラのレンズ。
私の身体はやがてくるりと回る。
冷たい水が八方に跳ね、またそれを何度も見届けた。

ふと耳に届くシャッター音に目を覚ます。
眩しさに目を細める。彼女は真剣な顔でカメラを覗き込んでいた。

「もう、終わり?」
彼女はそっとカメラを降ろす。息が止まりそうだった。
2人は黙りこくった。幾度聞いたか分からない、波の音。覆い被さる沈黙の浅瀬。

「海って、綺麗だよね。」
気まずい空気のせいか彼女は苦笑いをした、それはすぐさま私の目に飛び込んだ。

「…当たり前だよ。」
私は彼女に背を向けた。
初めて見た彼女の表情だった、いつもより余裕のなさそうな。

「なんで当たり前なの?」

「え?」

振り向くと腕を引かれる。
駄目だ、駄目だ。止まる体内時計。


「帰ろう。」



やっとの思いで言い放った。
彼女は一瞬だけ驚いたような表情を見せる。

そして諦めたように眉を下げ、
またいつもの掴みどころのない笑顔に戻るのだ。


「そうだね。」


そうだ、私はこの時のことを今でも後悔している。
もっと長く彼女と話せたかもしれないし、‪私の恋も叶ったのかもしれない。



でも、よく分からない。



あの時、彼女が意図した何かが。
私を引き留めようとした彼女の葛藤が。
私の恋心への裏切りをどんな思考で捉えた?
彼女は最初から全部知っていた。


彼女は、何も言わなかった。
何も言わずに、手紙で愛を語った。

憎たらしい、嘘つきめ。


奥歯がギリギリと鳴る。
意図せず滲むインク。


彼女の遺体に残る痣は、
それまた痛々しく紫に咲いていた。

私は、此処でペンを置くことにした。
ふと飲みたくなって口付けた缶コーヒーは異常な程に苦かった。
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