ひょうし/小説を書こう
この世界で僕は君を忘れる4
作:あいうえお/中学1年 男子
 そのまた翌日……
 授業が終わり帰りの時間。教室を出ると僕の目の前に加恋が立っていた。
「さ、帰ろっ」
 僕が加恋に気付いたときには、もう加恋は僕に近づいて歩き始めていた。
 僕と加恋の距離の近いこと……。もどかしくて仕方がない。
 本当に、加恋が好きなのかな。愛菜のことを好きになったばかりだというのに。出会ってまだまもないというのに……。
 でも、そういうことはあまり関係ないのかもしれない。一目惚れ、なんて言葉もあるくらいだし……
「ねぇ、拓也くん」
 僕が一人で試行錯誤しているうちに加恋が話しかけてきた。
「拓也くんはさ、将来の夢とかあるの?」
 将来の夢、か。
 そんなの、僕には一つしかない。
「小説家、かな」
 この夢はたいてい誰に言っても笑われてしまうような……実際愛菜にも笑われた。漫画家になればいいじゃないか、と。漫画の方が面白くてたくさん読まれるよ、と。
 僕は漫画が嫌いではない。漫画はよく読む方だ。しかし明確な理由などはないけれど、僕は小説が書きたい。
 ただ単に絵を描くのが苦手。それが主だと思う。けれど漫画にないものを小説は兼ね備えている。僕はそう思うから。
「小説……!?」
 加恋は目を見開いて驚いていた。その驚きに逆に僕も驚いてしまう。
「そこまで驚くかな……?」
 僕はついつ口に出していた。
「わ、わたしも、小説関連の仕事に就きたいと思ってるの……!」
「え……?」
 声にはあまり出さないし表情にも出さなかったけれど内心とても驚いていた。
 今まで5年間くらい同じ夢を見続けていたけれど……同じような夢の人とは会ったことが一度もなかった。感動にも近いくらいだ。
 僕達は靴箱につくとすぐに靴を履き替えて外に出る。
「私ね、出版社に勤めたいなーって。本を作る方の仕事がしたいんだよね!」
 そしてすぐに加恋が笑顔で話し始める。
 愛おしいな。僕はいつからかそう思うようになっていた。
「……いつか、拓也くんと一緒に本が作りたいな」
 なんて、続けて笑顔で言う。
 それは今僕が思っていたことと同じ事だった。同じ願いなんだな……。加恋となら、一緒にできる気がする。そんな変な気持ちも湧き上がってきていた。
 もう、言い逃れできない。僕はやっぱり加恋が好き。そうとしか言いようがなかった。
「作れたらいいね、僕も祈っとく」
「ありがとう、私も祈る」
 僕と加恋は二人でそろって合掌する。それがおかしくて、少しの間二人で笑っていた。
 こうして、二人の下校時間は笑顔に包まれて終わった。
 
 いつまでも、こんな幸せが続けばいいのにな。こんな願い、祈っても祈ってもきっと叶わないのだろう。
 そのことを身を持って知る日。それはもう少し先の話。
おなまえはハンドルネームでいいです。
ID
パスワード 
ハンドルネームの後に(本人)をつける つけない
 ログインすると、IDなどが自動的に入ります。
お名前 
男女 女の子  男の子
学年 1年生  2年生  3年生  4年生  5年生  6年生
ようちえん  中学1年  中学2年  中学3年  大人
かんそう