ひょうし/小説を書こう
幽霊の秘密 第4話
作:あいうえお/6年生 男子
 遥斗は少し疑問に思っていたものの、深く考えずに理科室へ向かった。
 栞は音楽室の扉を開けて、またピアノの前で待機していた。
「あと1分……」

 遥斗は理科室へ入ろうとした。けど……
 姿が見える前に自分の姿が見られたら逃げられてしまう…
 遥斗はそう思い、あえて理科室には入らず廊下で待機していた。
 そして、時間が来たら中に入って探す作戦だ。

 9時9分。栞の前には例の男の子がいた。
「…何か思い出した?」
 男の子は口を開いた。
「…ここにいる理由。長くなるけど」
 栞はうなずいて男の子の話を聞いた。
 十分に聞いた後にまとめると、男の子は小学生の時この学校に通っていて、すごく音楽が好きだったらしい。実際に死んだのは中学生らしいが、一番心に残っていたこの部屋に戻ってきたみたいだ。
「何か、心残りなことでも…?」
「わからない…でも、あの曲が何か関係ある気がする」
 男の子の答えは曖昧だった。
カモミールのことだろうか。
「あなたは、ずっとここにいるの?」
 栞はふと不思議に思い聞いた。
「…多分、やりたいことができるまではいなくならないと思う…」
 また曖昧な答えだった。
 そうして、すぐに1分は過ぎて男の子は消えた。

 一方理科室では…
 9時9分になると同時に遥斗は理科室に入った。遥斗は周りを見渡すと、すぐに女の子を見つけた。
 女の子は理科室に飾ってある花の前にいた。
 遥斗はそっと近づいていく。
 そして、女の子との距離が約2mになったころ、ようやく気付いて後ろを向いた。
「えっ……」
 女の子は驚いていたが、急に走り出した。
「あ、待てっ!」
 遥斗は女の子をつかもうとした。
「……」
 遥斗はその場に立ちすくんでしまった。
 女の子は遥斗の体を通りすぎていったのだ。
 実体が…ない……?
 触れることができなかった。やっぱり、幽霊なのか…
 時計を見ると、9時10分になっていた。

 階段を下る音が聞こえる。
「どうだった!?」
 栞だ。様子を見に来たのだろう。
「逃げられた…」
 栞はその場に座り込んだ。
「もう戻ってこないかもね」
「なんで逃げるんだろう…」
 栞は男の子から聞いたことを遥斗に伝えた。
「そっか…何が心残りなのか、探さないとな」
「幽霊だし、成仏とかするのかな…?」
 遥斗もそう思っていた。解決すれば成仏するのだと。
「成仏の手伝いしようぜ」
「うん、いい気持ちで成仏できるように…」
 解決すれば成仏する…そんな保証はなかった。

 そして、その日は特に情報を得ることも出来ず、女の子も見つからないまま次の日に。
 しかし、土曜日のため、学校に行けない。
 仕方がないから、家で情報収集することにした。
 2人は遥斗の部屋に集まった。そして、パソコンを開き、カモミールを調べてみた。
 何か新しい情報が手に入るかもしれない。
 そして少し経つと、2人が演奏していた曲を見つけた。
「これだよね?」
「そうそう、これを学校で…」
 しかし、作った人は外国人で、学校に関係があるとは思えない。
 他に何かないかとさらに調べ続けると…
「カモミール……花?」
 カモミールについての記事を見つけた。
 あの曲の題名は花の名前だったのか……
 2人は調べ続けた。
「カモミールは薬草として使われていて…これは関係ないか」
「えーっと……花言葉は仲直り?」
「それ関係あるかもね」
「誕生花は2月14日…3月14日…11月3日……」
 2人は関係ありそうな事をメモしていった。
「これで、聞いてみるか……」
 そうして2日が経ち、月曜日になった。

 8時5分、今度は2人で音楽室に向かった。
 8時8分になると、いつも通り男の子はそこにいた…
「この前カモミールについて調べてみたんだけど…」
 栞は男の子に話しかけた。
「お花の名前らしくて…何か分からない?」
 男の子は静かに首を横に振った。
「そっか…」
 栞は残念そうだったが、遥斗はさらに続けた。
「仲直りって花言葉らしい…誰かと仲悪かったとかある?」
 遥斗は、仲が悪かった友達にあげるために花を使ったと考えた。そしてその花のことを覚えていたのだと。
「仲直り……」
 男の子はしばらく考え込んだ。
 しかし、やっぱりよく思い出せないようで首をかしげた。
 遥斗はふと誕生花の事を思い出した。それはたしか、バレンタインやホワイトデー…?関係あるかもしれない。
「この花の誕生花が2月14日と3月14日と11月3日なんだけどさ……」
 遥斗は男の子に話しかけた。
「……!」
 男の子の表情が変わった。
「思い出した…!」
 2人はお互いに「やった!」という感じで目を合わせ、すぐに問いかけた。
「何を思いだしたの?」
 男の子は「多分…」と言った後に続けた。
「カモミールの染め物を、友達に届けようとしたんだ」
 栞は男の子の言葉をメモしていった。
「その子は女の子で、ホワイトデーの少し前、喧嘩しちゃったんだ」
だんだん鮮明に思い出してきたようだ。
「そして、仲直りにいい物を調べてたらカモミールが出てきて…誕生花がちょうどホワイトデーで、しかも花言葉が仲直りって知って……」
 なるほど。だんだん話がつながってきた。
「…それで、喧嘩してたけどなんとかその子を呼び出して一緒に歩いてたんだ。お互い一言も話さなかったけど、僕は勇気を出して…」
 そこで渡したのか…
「渡そうと話しかけたんだけど、曲がり角から車が急に飛び出してきて…」
 えっ……
 あまりの衝撃に2人とも黙ってしまった。
 そして、男の子は急に消えた。
 もう1分が経ってしまったんだ……
「…ねえ、ハル」
「あの子、事故で…?」
 2人は急に悲しくなり、静かに教室へと戻った。

 そして9時5分。再び2人は音楽室へ。
 少し待つと、気づかぬうちに男の子が現れていた。
「それで、さっきの続き、聞かせて」
 栞が言った。
「そこからの記憶は、ほとんどないんだ」
 ほとんど……?
「でも、死ぬ直前、隣にその子がいたのは覚えてる」
 もしかして……
 2人は息を呑んだ。
「一緒に死んじゃったかもしれない…」
 男の子は小さな声で言った。
「そして、染め物は渡せていないんだ。もしかしたら、それが……」
 その可能性が高そうだ。2人は思った。
「あ……」
 栞はあることを思いついた。
 理科室の女の子。あの子が男の子の言っている子なのではないか、ということだ。
 しかも、一緒に死んじゃったとして、同じ学校に2人とも現れたのだから。
「わかった。ちょっと考えてみる」
 栞は男の子に言った後、ハルに自分の推理を伝えた。
「たしかに、そうかもな…」
 あっという間に1分が経ち、男の子は消えた。
「明日、カモミールの染め物、作ってこよう」
「そして男の子に渡して、そこから理科室の女の子へ…」
 2人は作戦を練った。
「じゃあ、染め物は俺が作ってくるよ」
「大丈夫?作れる?」
「なめるなよ、染め物くらい作れる」
「本当??」
 栞は心配だったが、正直今日はいろいろと忙しい為、遥斗に任せたかった。
「じゃあ、お願い」
「任せとけ」
 2人は教室に戻った。
 そして次の日、事件は起こった。
「なにこれ……」
 栞は絶句した。
「…ごめん」
 遥斗は滅多に謝ることはないものの、今回だけはすぐに謝った。
「昨日作り終わってそのまま置いておいて、放っておいたらこうなってて…」
 ハンカチをきれいな色で染めた素敵なものだったが、その上にとても目立つ染みがあった。
「机の上に置いておいたんだけど、お母さんがコーヒーをこぼしちゃったみたいで…」
 それはちょっとした事故だった。
 でも、栞はなぜか激怒した。
「やっぱり、ハルに任せるんじゃなかった…自分でやるから、もう手伝わないで」
 なんでこんな言い方をしてしまったのか、自分でも分からない。
「1回のミスでその言い方かよ…もういい、俺こそお前の手伝いなんてするか」
 2人はそれっきり、一度も話すことなく1日を過ごした。
 お互いに悪いことをしてしまったという気持ちはあった。
 でも、自分から謝ることができなかった。

 その日の夜…
 栞は忙しく、カモミールを買いに行く時間もなく、ましてや作る時間もなかった。
「仕方ない…また明日作ろう」
 疲労のせいか、作る気力もなく、すぐに寝てしまった。

 一方遥斗は……
 もう一度、染め物を作っていた。それも2つ…
 1つは男の子へ。もう1つは……栞へ。
「俺から仲直りしないと…」
次の日、遥斗は勇気を出して栞を誘い、一緒に帰ることにした。
 栞は勘づいていた。
 男の子と同じことをするんだな、と。
 とても嬉しかった。でも、違ったらどうしようと、不安もあった。
 帰り道を半分行ったころ、遥斗は口を開いた。
「あのさ……」
 2人は歩き続けていた。
「この前はごめん、俺の不注意で、台無しにしちゃって…」
「ううん、私も言い過ぎた」
 お互いに謝ると、遥斗はハンカチを出した。
「これ、今度はちゃんと完成したよ」
 立ち止まった遥斗の手には2つのハンカチがあった。
「1つは男の子にあげて、もう1つは、栞にあげる。これで、仲直りしようぜ」
 遥斗はニコッと笑うと、栞に手渡した。
「…ありがとう」
 栞は嬉しそうに言った。

 しかし、悲劇は起こった。
「これ、とっても綺麗…」
 2人は再び歩き出した。
 それも、ハンカチを見ながら……
 当然周りなど見えていない。
 そして、曲がり角へやってきた。信号機などない。
 2人はそのまま道路を渡ろうとした。その瞬間……
 キ―――ッ

「悲劇は繰り返される……」
 音楽室の男の子は言った。
「僕が受けた事と同じ目に遭ってしまえばいい」
 こうして、幽霊は増えていく。
 幽霊は自分を見つけた人間を自分と同じ目に遭わせる。
 とある学校の音楽室に1人の男の子が現れた。そしてそれを見つけた男女は……
 キ―――ッ























とっくに書き終わってたのに投稿してませんでしたm(__)m
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