ひょうし/小説を書こう
アスファルトに溶けたいのです。(プロローグ)
作:湊/中学2年 女子



祭囃子が、雑踏の中で忘れられたように鳴り響いていた。暗闇の中で水色の浴衣とお下げ髪をゆらりゆらりと揺らして彼女は笑う。

「ねぇ、○○さん」

笑んだ彼女はあまりにも美しく、僕という矮小で賤しくて醜悪な存在には不釣り合いだった。愛らしく小首をかしげる仕草や、薄桃色の唇を吊り上げて笑う姿は夢のように美しく、儚い。

「○○さん、ってばぁ」

彼女のなめらかな指先が僕の頬を摘み上げる。彼女の匂いと柔らかさが僕の鼻先を掠めていく。
心底、辞めてほしいと思った。
しかしそれは僕のような汚らわしい存在に触れてしまうことで、彼女まで僕というゴミ屑同然の存在に汚染されてしまうのではないかということを心配したものであり、僕自身のエゴではない。

「○○さーん」

彼女の繊細な声が僕の名前を呼ぶことで穢れてしまうのではないか、とも思った。彼女の身はおろか、声まで汚染するわけにはいかない。天使のように細やかな彼女は硝子細工なのだ。そうつまりは鑑賞品。絶対に手など触れてはいけない。
あれ僕はなんだか頭がおかしくなってきたみたいだ。あああもう彼女に触れてはいけない!関わったら彼女が壊れてしまう!それは僕にとって死ぬよりも辛いことなのだ!

「○○……さん?聞いてます?」
「ごめん、」
「もうっ、どうしちゃったんですか」

呆れたように笑う彼女はやはり何度見てもひどく可憐で耽美的で僕には相応しくないのだと知った。ならば僕が言うべきことはひとつのみ。ひとつ、のみ。


「もう二度と僕に会わないで」


びゅう、と夏にしては冷たい風が彼女の浴衣をはためかせていった。
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