ひょうし/小説を書こう
あるわけ…無いよねぇ…
作:ソルシエール/中学1年 女子

靴を履いて外に出ると、1人の男子が空を見上げて立っているのが見えた。見ると、土砂降りになっていた。ザァーッと音が響いている。大きい傘を持ってきててよかったなとホッとする。
「雨だねぇ」
「ああ。さっきは降って無かったんだけどな」
そこで彼はほぅっと短くため息をついた。この人、知ってる。隣のクラスの人で同じ学年の人だ。まだ話したことは無かったから、最初は分かんなかったんだ。彼が呟く。
「どうすっかな…」
もしかして、と恐る恐る聞く。
「傘…忘れたの?」
「うっ…そうなんだよ…」
そう言ってまた溜息とともに俯く。この人って先週からずっと今日は雨だってテレビで言ってたのに、忘れてきたのね。そんな人だっけな。そんなことを考えていると、下駄箱のほうから見回りの先生の声が聞こえてきた。
「お前らで最後だぞー早く帰れー」
「「はいっ」」
声がぴったりそろった。なんか可笑しくってくくっと笑うと、そこで初めて彼は振り向いた。不思議そうに。こんな顔だっけ。人の顔と名前を覚えるの苦手だから…。それより。
「どうすんの?迎えに来るの?」
「いや、さっき電話したら両親は仕事で姉貴は塾だってさ」
「お姉ちゃんがいるんだ」
ちょっと意外。いやそれより。
「んー、じゃあ駅まで私の傘に入っていきなよ」
言えた!
「え、いや…それは…」
「もう校門閉まっちゃうし風邪ひくし私の傘大きいし誰もいないから」
「…」
だって置いて帰るのは罪悪感がヤバいからさ、それしかないと思うんだけど。傘はたった一つ。
「じゃあ…入れて…くd」
「ほい」
そういって私は傘を開いて入れた。返事が返ってくる前に。
「行くよ」

いつもよりちょっと早足。でももうちょっとこの時間が続いてほしくもあるかな。周りに知ってる人がいないかなとキョロキョロする。チラッと彼を見ると、首を曲げて入っていた。やば。身長差という物があるのをすっかり忘れていた。同じくらいだろうと思ってたけど、並んでみると結構高くって十センチは上かもしれない。
「あ、ご、ごめん。低かったね…傘持ってくれる?」
「あ、いい、よ」
なぜかお互いもじもじしてる。普段はこんなじゃないんだけど。
そう思って傘を渡すと、彼の顔が見えた。―ここまであまり顔を見なかったのは、何でだろう。 手がチョンと触れた。お互いびくっとするのが伝わる。
暗くてよく分からなかったけど。
何でかな。
何でかな。
彼も。
私も。
顔が火照ってて赤い。

シーンとした道の中、車が通る音と雨のザァァという音しか聞こえない。気まずいなあと思ったとき、彼も同じように思ったのか口を開いた。
「あ…入れてくれてありがとう…ほんとどうしようかと思ってたんだよ」
「いやこっちこそ強引に入れてすいません…」
やばい。会話が暗い方向に。
「あ、そう言えば、駅からは大丈夫?電車乗っちゃうんだけど」
「それなら大丈夫だよ。あの…」
そのとき。遠くから彼を呼ぶ声が聞こえてきた。
「こっちよー」
いつの間にか駅だった。お母さんかな。車の中から手を振っている女性がいた。あれ?さっき、両親は仕事って言ってた気がするんだけど?
「ま、待ってー」
彼は慌ててこっちを向いて、傘でお母さんに見えないようにして、私の耳に囁きかけた。


「ほんとは…君に会いたくて待ってたんだ。ありがと。いつかお礼するわ。じゃ」

そして車に乗り込んでった。遠くから二人の声が聞こえた。
「どしたの?女の子と二人して。ラブラブ?彼女ができたんなら言ってよね」
「いやちがうって。傘がなくて困ってたんで入れてくれたんだよ」
「ふうん?」

ブルルルル…
車が去っていく。
私はまだ立ち尽くしていた。

えっ…え?



ザアアアアアと雨の音。
フワッと恋の音。
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