ひょうし/小説を書こう
火曜日
作:グレッグパクル/1年生 女子
まずさいしょにいっておくよ。
このノートは記録ノートで日記帳じゃない。
そりゃ、たしかに表紙には「日記」って書いてあるけれど、これはママのせいだ。
なにも書いてない自由帳にしてってたのんだのに、ママったら「日記帳」を買ってきちゃっだ。

まったくもう!
こんなノートもっているときにかぎって、いやなやつに会う。
なにいわれるか、わかんないじゃないか。

もうひとつ、ちゃんといっとくと、日記をつけたらっていいだしたのはママで、ぼくじゃない。

ママは、ボクがマジで自分の「気もち」をすなおに書くとでも思ってるのかな?
だったら、どうかしてる。
「やあ、日記さん」とか、「ねえ、日記さん」とか書くわけないじゃん。
これを書くことにしたわけは、ただひとつ。
ボクがしょうらい、金もちの有名人になったとき、1日中ばかばかしいしつもんに答えるのが、めんどうだからだ。
そういう場合、これをだせば、いっぱつでかいけつするからね。

さっきもいったようにボクはいつか有名になる。
でも、今は学校で、おばかなやつらにかこまれてくらしている。

はっきり書いとくけど、はじめて学校をつくったおとなって、ものすごくマヌケだと思う。
だって、ボクみたいにまだ成長期にはいってない子どもと、ひげをそらなきゃならないゴリラみたいなやつを、おなじところにいれちゃったんだから。

そのくせおとなは、なぜ学校で弱いものいじめがあるんだろうって、ふしぎがっている。

ボクだったら、学年を年れいじゃなくて、背の高さできめるね。
でも、そんなことしたら、チラグ・グプタみたいな背のひくい子は、いつまでたっても1年生のままかもしれないな。

きょうは、新学年のスタートの日だ。
今、先生があわてて座席表をつくってるんで、ボクたちは、またされている。
座席表ができるまで、このノートでも書いて、ヒマつぶしだ。

ところで、ちょっといいことを、おしえてあげよう。
1学期のさいしょの日、どこにすわるかは、ぜったいに要注意だっていうこと。
教室にはいって、テキトーににもつをおろして席にすわったときにかぎって、先生がこういうんだ。

「今すわっている席でいいだろ。
1学期の席順はこのままだ」

というわけで、この教室のボクの席は、前がクリス・ホーシーで、うしろがライオネル・ジェームスになった。
ちこくしてきたジェイソン・ブリルが、ボクの右どなりにすわろうとしたんだけど、ぎりぎりのところでうまいことくいとめた。

つぎの授業では、教室にはいったら、すぐかわいい女の子のあいだにすわるぞ!
でも、それじゃ、去年の経験から、なにも学んでないってことになる。

まったく、さいきんの女の子ときたら、なにを考えてるんだか、ぜんぜんわかんないよ。
前はもっと、かんたんだった。
クラスでいちばん速く走るヤツがモテるってきまってたんだ。

3年生のときにいちばん速かったのはロニー・マッコイだ。

ところがこのごろ、ことは、やたらとむずかしくなってきた。
どんな服をきてるか、金もちなのか、おしりがカッコイイか、そのほか、いろいろかんけいしてくる。
だから、ロニーみたいなやつらは、わけがわからなくなって頭をかいてるってわけ。

今、学年で一番モテるのはブライス・アンダーソンだ。
ボクは、ずーっと女の子にやさしくしてきたのに、ここにきて急にやさしくなったブライスが、いきなりダントツなんだから、やってらんないよ!
ボクは、ブライスがむかしどんなやつだったか、よくおぼえている。

ボクは、そのころからずっとみかたしてるのに、女の子ってホント恩知らずだよ。

とにかく今は、ブライスが学年のモテモテ・ナンバー1で、その下の順位をのこりの男子全員であらそっている。

たぶんボクは、52位か53位あたりのはずだ。
だけどいいニュースがある。
さいしんじょうほうによれば、ボクより上のチャーリー・デイビーズが、来週歯のきょうせいをはじめるらしい。
となると、もしかしたらボクがひとつ上にあがれるかもしれない。
モテモテ・ランキングのことを、友だちのロウリーに説明した。
だけど、あいつったら、まったくきょうみなさそうで、ボクの話はかたほうの耳から、もうかたほうの耳へとおりぬけてっただけみたい。
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