ひょうし/小説を書こう
幼頃。/1
作:まかろん/中学3年 女子
君が椅子にしっかりと腰を掛けたのを確認すると私は口を開く。

「なにか話そうか。時間はたっぷりある。」

しかし彼は目を細めるとこう答えた。
「生憎だが、僕は面白い話なんて持ち合わせていないよ。」
彼は困った表情を浮かべて私を見た。

思わず私は頬を吊り上げる。
君は面白いこともなく平穏な日々を送ってきたのだね、と言ってやりたくなった。
勢いよく言葉は喉元までこみあがってきたが私は急いでそれを呑み込む。


「では、私の話をしよう。」



_

幼い頃の夢はいつの間にか戻ってきていて、捨てたはずの思い出は実は裏側に潜んでいるものだ。
少なくとも私はそうだった。それではお前さんはどうなのだろう。


当時私は小学三年生であった。
買いたての青い靴を履いて登校した時はなんとも言えぬ素晴らしい気持ちになったものだ。
確か、私の住んでいた場所は田舎と都会の中間あたりで、緑があるところは少なくはなかった。(最近はビルが建ったと聞いたが。)
その頃 格好良く英語のプリントされたTシャツが皆のお気に入りだったのをよく覚えている。
私は幼い頃から我儘で、すぐに新しいものを欲しがり親に泣いて強請っては困らせていた。
駄々をこねてやっと買ってもらった品々は未だ机の引き出しの中に押し込まれ、潜んでいることだろう。


埃まみれの引き出しから取り出された1本のペン。
父親に買ってもらったそれが始まりだった。


とある男児が私に話しかけてきた、その記憶はまだ温かさを帯びて残っている。

「やあ、素敵なペンだね。」
そう言われた私はつい嬉しくなってしまって、
声色高く「ああ!そうだろう。お気に入りなんだ!」と答えたのである。

彼は僕の返答を聞き入れ優しく頷き
「見せてもらっても良いかな。」そう 僕にねだってきたのだ。
僕は喜んで彼にペンを差し出した。
「へえ、初めてみたペンだ。」
彼は興味深そうに私のペンを眺めた。
「素晴らしいや。」
その頃はそのペンは知名度が低く、それを所持している自分だけが特別だというアイデンティティを強く感じられて有頂天になっていた。
しかしそれもつかの間である。
波紋のように周りの子供らにそれが流行してしまうのだ。
私はそれがたまらなく悔しくなってしまってペンを使うのをやめた。

「あれ、あの素敵なペンを今日は持っていないのだね。」
そう話しかけてくる彼は私がペンが嫌になったことを分かっていたのだろうか。
私は愚かな人間であった。自分が特別でなければ嫌なのだ。当時の私は何事にも難癖を付けたものである。私は特別だとみんなに知らせてやりたかった。


ふとお前さんの口を歪ませる感じの苦笑いが私の目に映った。
「はあ、勝手にしてくれ。」
たかがペンのことでこんなに感情的になるなんてお前はどうかしていると嘲笑すればいいんだ。
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