ひょうし/小説を書こう
家族の定義。
作:まかろん/中学2年 女子
家族とは、守り合うものである。

家族とは、愛し合うものである。

家族とは、育て合うものである。



「家族とは、…あー…」

そこまで言うと言葉がつかえてしまってなにも言えなくなった。

そんな僕をみて
「あー、…もう、いいよ。」と彼は笑った。
あの日のことが頭に染み付いて離れない。


____


強風に煽られ、桜の花びらが舞ったのが窓越しに見えた。

「春一番だぞ。」
親父が笑った。
「そうだね。」
俺はいつも通りろくに答えもしなかった。


「懐かしいなぁ。」
俺に背中を向けてふと笑う声。振り返ると親父の手には開かれたアルバムが握られている。横には、沢山のダンボールが積み重なっており、本や写真が纏められていた。
「なに笑ってんだ?」何となく親父に声を掛ける。
「いやぁ、お前もこの頃は小さかったなってなあ。」ククッと親父は笑う。
アルバムの中の幼い俺がピースサインをして無邪気に笑っているのが目についた。
笑うのがまだそんなにうまくない頃の俺。上唇が上がりすぎて、前歯が目立つ。
…我ながら不細工だ。

「うわ、この猿…、俺なのかよ。」

猿に似た幼い頃の自分を見て俺は顔を顰めた。

「今ではこんなにイケメンなのに。」とも呟いた。
「今も猿だろ」
親父はにやっと笑いながら、わざわざ俺に聴こえるように呟きに答えた。
そして髭の生えた顎のあたりをポリポリと掻く。

「うるせえ親父。誰に似たと思ってんだ。」
俺は親父の方を背中を逸らして睨んだ。

「俺だな。俺に似て猿なんだな。」
…わざとらしい嫌味な笑い方だ。

「そうだ、親父が悪い。」
フンと俺は鼻を鳴らした。
「なんだとぉ?」
「なんだよ、親父が自分で言ったくせに。」
「悪かったな?」
親父も負けじと鼻をならし、片眉を上げる。
なんとも言い難い、人に不快感を与えるに最高な声をしている。
「それにしてもさ、親父は我が子に対しての愛がないのかよ?」
俺はため息をつきながらにわざとらしく親父に問う。返事は予想通りのものであった。
「あるに決まってるさ。お前は母さんとの愛の結晶だからな。」
親父は猫なで声で喋る。
「気持ち悪い。」
「おい。」
俺はそう言うと親父と少し距離を置いた。
「じゃあ、さっきからお前は父さんに傷付く言葉ばかり吐いているが、それはどうなんだ?」
親父が頬を釣り上げるように笑みを浮かべた。
いつもの何の期待も抱いてない笑顔だ。
まあ、生憎こちらも親父を喜ばせるような言葉は持ち合わせていない。だから言ってやるのだ。

「慈悲はないよ。」と。
「いやん。お父さん悲しい。」

間髪入れずに親父が答えた。
俺の返答なんてとっくに予想出来ていたのだろう。
そしてその返事も俺を笑わかそうとしてくれている意図があると感じた。いや、親父のことだからきっとそうに違いない。
そう考えると何故か対抗心が生まれた。

「対して面白くないのにわざわざそういうの言わなくていいから。」

眉を吊り上げて冷たい声で言葉を返す。
親父は一瞬目を丸くした。だがすぐにいつも通りの柔らかい表情に戻る。

「なんだその口の利き方は。ほんっとうに素直じゃねぇのなァ。」

「素直じゃなくて結構だわ」

本当に可愛くない返事だと思う。
ひねくれていて、ねじ曲がっていて、相手をすり抜ける言葉。
俺はこのような心無い一言だけでどれだけこの人を傷つけてきたのだろう。
嗚呼、馬鹿みたいだ。この人を傷つけてもなにも俺に利益はない。
だけど、まあいいや。
心の何処かで親父は俺を裏切らないという思いがあったのかもしれない。俺はきっと自惚れていたのだ。全てどうでもよくなった。俺は一生このぬるま湯のような心地の良い環境から抜け出せることはない。
そもそも抜け出そうとすら思わないだろう。

まあ、このままでも良いのか。
誰も死ぬわけじゃあるまいし。





______


「家族とは依存し合うものであるんじゃないかな。」

いつの日かの友達の言葉がふとフラッシュバッグしてきた。
俺はそいつになんて答えたっけ。


あ、そうそう。

「なるほど、面白い考えだね。」って答えたんだった。






…なにも面白くねェよな。
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