ひょうし/小説を書こう
一冊の本
作:hemu/中学3年 女子
俺の時計の針はあの日で止まったままだ。再び動き始めることがあるのか、一生このままなのか、それは俺にも、誰にも分らない…分かるはずないんだ…



中学3年の冬、がむしゃらに勉強してギリギリ合格した公立高校にも慣れてきた頃だ。俺の時計の針は音を立てて動き始めた。

「お兄‼これから僕の友達が来るんだけど、いい?」
「…それ、うるさくなるのか?」
「そうだね、僕の友達にうるさくない奴なんていないから」
「…俺、出掛けてくるわ。あんまりはしゃいで、怪我すんのだけはやめろよ?」
「りょーかい‼」

俺は特にあてもないのに弟にそう言ってしまった。とりあえず、何かあってもいいように財布とケータイ、読みかけの文庫本を一冊肩掛けバックに入れ、家を出た。

「さて…どこ行こう…」

家を出てしばらく歩くと俺の目を引く建物が見えた。

「図書館…?こんなところにあったっけ?」

どうやらこの図書館はつい最近にできたばかりのようだ。
普段、図書館になんて興味がないのに、なぜか俺の足は自然と図書館に向かっていた。


「おわぁ…」

中に入った瞬間、俺の口から感嘆の声が出た。
中は俺が思っていたよりも広く、夏の初めのこの時期にはぴったりな涼しさだった。
とりあえず一通り館内を物色したあと、学習スペースのような机に腰をかけ、前を確認した瞬間。

カチッ

俺の時計の針が確実に音を立てて動いた。
前に座る女性は、長い綺麗な黒髪に、真っ白なワンピースを着て、俺が今持っている文庫本と全く同じものを読んでいた。
運命だと思った。決して知り合いではないし、面識があるわけでもない。それでも、俺の本能がそう言っていた。
俺はドキドキしながら鞄から本を取り出し、読み始めた。
すると…

「こんにちわ。」

俺は聞き間違えかと思った。まさか、彼女の方から声を掛けてくれるとは思いもしなかったからだ。

「こ、こんにちわ…。」
「読書中、ごめんなさい。同じ本を読んでるなんて奇遇だなと思ったものですから。」

彼女は申し訳ないという顔をしながらそう言ってきた。

「いえ、構わないですよ。この本、面白いですよね。」
「ええ、何度も読み返せば読み返すほど、ストーリーに入り込めるというかなんというか…」
「分かります。俺もこの本読むの、3度目くらいです。」
「本当ですか?実は私も3回目なんです。」

俺達はその後も本について語ったり、お互いについて話したりした。

閉館10分前…

「あ、俺そろそろ帰らないと…」
「私もそろそろ帰ろうと思います。」
「あ、あの…明日も来たりしますか?」
「ええ、これから毎日いると思いますよ。」
「また、来てもいいですか?」
「ええ!今日はとても楽しかったです。また明日。」
「はい、また明日。」

俺は図書館を出て帰路についた。


彼女の名前は朝霧 深夏(あさぎり みなつ)。俺より一つ年上らしい。
深夏はこの図書館に毎日のように通っているそうだ。





短編のつもりが長くなってしまったので切ります。hemu
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