ひょうし/小説を書こう
無音の狼ー1
作:ひー/中学1年 女子


『彼は狼ですよ』
『ほぉ、狼ですとな』
『えぇ、音もせず現れて、音もさせず始末して、音もせずに消えます。無音です』
『始末、?』
『その姿は狼のようで、無音だと。ーー彼は、』



_____殺し屋です。







無音の狼






不味い空気には慣れているーー否、寧ろ綺麗な空気というものを吸ったことがないから、慣れている、は間違っているかもしれない。
「……きったねぇな」
そう呟いて、空を見上げた。汚い空だ。抜けるように透明な青は、汚い俺には汚く見える。
俺がへたり込んでいる隣に置いてある紙には、クライアントから貰ったターゲットの似顔絵が描かれていた。
随分若い。まだ少年だろう。
この少年が犯した罪については何も知らないが、故意的に人殺しなんてしたのか、止むを得なかったのか。ーーどっちにしろ始末される運命で、自分には関係ない、いつものことだ、と紙を畳んでポケットに突っ込んだ。

ふいにがさりと音がして、目の前を誰かが通る。
横顔で判ったーーあの少年。ターゲット。黒髪と翡翠の両目という端正な顔立ちは、似顔絵で見たよりもずっと聡明だった。
「ねぇ君」
彼は振り返る。
「君はさて、自分の犯したことに対してどう思っている?」
すると彼はさっと顔を蒼白にし、得物を探すように腰に手をやったが、俺のほうが速かった。
瞬きをしたあとには、もう事切れている。
俺はまだ銃口から煙を吐いているハンドガンを仕舞う。
「残念だ、俺は君を殺したくなかったんだけど」
自嘲のように笑って、アジトに足を向けた。

しばらくふらふらと歩いていると、不意にうしろから声をかけられる。
「こんにちは、リア」
女。声の主はもう知っている。
「貴方もよく殺るよねぇ、自分だって大した年齢じゃないくせに」
「19だ、大体ルナ、お前だって俺と同い年だろ」
女ーールナはふふんと鼻を鳴らし、
「金出されたらなんでもやるような何処かの誰かさんとは違うんで」
とそのブロンドの髪を揺らしながら答える。
「そりゃあ、金を出されないのに仕事をしたって、こっちにはなんの利もない。損だらけだ」
そう返すと、ルナは呆れたような顔をして溜息をついた。
「で?死体(これ)どうすんの?」
ルナは厚底のブーツでまだ温かい死体を踏む。
「放置」
俺が答えると、彼女は「はぁ?」と声をあげ、俺に詰め寄る。
「放置?死体の処理も仕事のうちでしょう? ボスにチクるわよ」
ーーそう、死体処理も仕事だが、今回の場合は放置が依頼だ。だが、それを知る由はルナにはない。
「だってこれも依頼だし。何故かは知らないな、そこまでは俺たちの入り込んでいい領域じゃない」
予想もしていなかったのか、ルナは虚を突かれたような顔をして、
「……あっそ」
と目を逸らしながら言った。


******


「ほぉ、死体を放置とな」
「えぇ、死体を放置です」
ボスは簡素な木椅子に座って、脚をぶらぶらと揺らしている。
世代交代したあとで、まだ22だとか23だとかという噂のあるこのボスだが、若いが手腕は只者ではない。そのため、先代のボスを未だ推している古参の奴らも文句が言えず、黙っていた。統制の才もあり、殺しの才もある彼は、しかしそのような秀才には見えない様子で暮らしている。
「ふぅん。ーーまぁリアのことだからきっちりやってきたと思うけど」
「いつも通りですよ、特に俺の変化はありません」
「ならいいや。ーーリアは役に立つね、俺が心底信用できる数少ない人物のうちのひとりだ、喜びなよ」
ボスはにっこりと笑った。
「殺し屋を信用するとは、貴方もだいぶ莫迦ですね」
「ふふ、俺も殺し屋なんだけど。ーー君は俺を信用してないの?」
ボスは笑顔をぴったりと貼り付けたまま、俺に問う。
食えない男だ。
「してませんよ」
即答すると、ボスは悲しそうなフリをする。
「えぇ、君くらい信用してくれてもいいじゃないか、ひどいなぁ」
ボスはその淡い金髪を掻き上げ、群青の眼で俺を見た。
だいぶ整った顔をしているが、その人を引き込んで嬲(なぶ)り殺すような目つきの所為(せい)で、決して善人には見えない。それでも俺は、その眼に惹かれるから、彼について行くのだろう。
「依頼だよ。ーーどうやら、クライアントは君に会いたいらしい」
稀な依頼だった。



あとがき
ちょっと前までなんか行開けで文書いてたけど、やっぱり無駄に行開けするよりこっちのほうが見栄えいいですね。(紅目は最後まで行開けでいきます)
どうも、こんにちは、ひーです。

やってしまいました。はい。やってしまいました。

新作でございます。なんかこういう話好きだよなぁ私とか思いながら書いてます。
もともとこれは学校の生活日記に書いて担任に提出している話をちょこちょこ改稿しているものなんで、多分完結までいく……と……思い……ま………s((
ちゃんと日記書けよってことですね←
紅目は本当にのろのろ書いています。宵闇に比べて驚くほど筆が進みません。鬼です。(ネタじゃないよ)ちょっとほんとに曲者でぐわあああお前ぇ次何言うんだよぉ次何するんだよぉとか悶絶しそうになりながら執筆中です(ノープラン)
多分こっちの更新は遅めです。そもそも続くことすら期待しないでください←おい

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