ひょうし/小説を書こう
―At
作:がんえん/中学2年 女子

また消えてしまった。


あの人はどこへ行ってしまったのだろうか。
私の愛しい人、またいなくなってしまった。
手当り次第探してもきっともう見つからない。
あなたは空気とまざってどこか遠くへ消えたんだ。

「あなたと消えたかったのに。」
私は1人、感傷に浸っていた。






―At


ある日。とあるお洒落な喫茶店で。

「ギリシャ語でastatosは不安定。まさに君みたいなもんだね、不安定って。」
寝不足を示した目の下。
青くなった彼のそこを私は手で撫でた。密かなきっと彼には届かない、愛の証明。
「……ごめん……何かあった?……僕、また覚えてないや。」
「いいや、大丈夫。大したことないよ。」
「ごめん、でも、君がそんなに僕に話してくるときは、何か意図があるんだろう?」
彼の台詞の始まりは八割の確率で「ごめん」。そんなに気を使うなと言っても止めないのは、最早癖になってしまっているからだろう。
「ほんとに、大丈夫。大丈夫。」
目の下をなぞった指をスルリとずらし、手のひらで頬を包み、撫でる。



私の愛しい人が二重人格と知ったのは、数年前の話。
「お前、誰。」

ショック、なんて簡単な話じゃない。只管苦しかった。
別れようか、なんてくだらない考えもその時の私には過ぎっていたが、一番苦しんで追い詰めていたのは彼本人だった。
彼は自殺未遂を繰り返し、何度も自分を追い詰めていった。病んで苦しんで溺れて。

そのまま戻ることもできず病んでいった彼は今も浅い眠りを繰り返しては、涙を流していた。



「大丈夫、私、あなたのことを愛してるからね。」

あなたへの愛の証明。
わたしへの自己暗示。


歪んでいるなんて自分でもわかっている。
わかっているようで実際私は自分のことをどこまで知っているのだろうか。


彼も同じように自分のことなんかわからないだろう。
自分が思っている以上のことを気がついたら行なっている、そんな日々。




とある日。彼の家で。


また、消えてしまっていた。

彼の家へ訪れたら彼はいなくなっていた。
もしかしたら、彼じゃないカレがまた何かを起こそうとしているのかもしれない。
そうなのだとしたら助けないと彼が危険だ。彼を探さなくては。

そんな本能みたいな何かとは裏腹に、私の手は随分と穢れていたのだった。







「気づいてなかったんだね、ワタシ。」

冷たい部屋の中で
ワタシは1人、感傷に浸っていた。




とある日、冷たい監獄の中で。










―カレとワタシの不安定な関係。―

END
おなまえはハンドルネームでいいです。
ID
パスワード 
ハンドルネームの後に(本人)をつける つけない
 ログインすると、IDなどが自動的に入ります。
お名前 
男女 女の子  男の子
学年 1年生  2年生  3年生  4年生  5年生  6年生
ようちえん  中学1年  中学2年  中学3年  大人
かんそう