ひょうし/小説を書こう
マジカルパワー最終回ーcyaneievanishーdownーA
作:芯筆/6年生 女子
「ミルア!」
返り血を浴びた天音が振り返るとそこにいたのはもう一人の月読命だった。否、違う点はあるのだが、それは髪を縛っているかいないかで、顔は全く一緒だった。
「秋葉・・・」
月読命は信じられないという顔で呟いた。
「お疲れさま。ごめん、今まで。アリス様がお呼びよ、戻って頂戴」
月読命は頷くと困惑顔ながらもふっと消えた。
今天音がした行為、現れた秋葉に困惑する。
「ミルア、貴方もよ、アリス様のお達しがある。・・・天罰をお覚悟なさい、と」
秋葉と呼ばれた秋葉は一葉の方へ足を動かす。天音は唇をかんで俯く。日和達は何も考えられずただ突っ立っていた。
「一葉さん・・・神原さん」
一葉は腹部を抑えて懸命に立っているように見える。それでも瞳は爛欄と碧くて、ぞくっと寒気がするような異様さを湛えている。一葉が秋葉の顔を認識したとき、一葉は目を開いて、すっと手が動いた。その手には前の様に青色の槍が握られている。秋葉は手をついてくるりと体を反転させ、いつの間に取り出したのやら緑色のナイフが手中にあった。
「―ぼさっとしてんじゃねぇ!!」
日和達に投げられたであろう言葉に日和ははっと体が反応する。日和は久しぶりに”心情を読む”力を発動させた。姫香の心は読めなかったが、悪魔であると認識するには十分だった。日和は”色”で心を読む。真っ黒に遮断されていた姫香に対し、秋葉の心は透明で、嘘は無い様だった。そうか、まだ悪魔はこの場にいるのだ。
日和は姫香・・・否、スピアリーに襲い掛かって行った。


一葉が日和と知り合ったのは小学4年の時。塔歌に呼ばれ、校長室を訪れると幼かった日和がいた。うわぁ可愛い、というのが第一印象だった気がする。
「この子ね、」
塔歌が言い終わる前にその子は
「古波津日和って言うんだよ!」
と愛らしく自己紹介した。「・・・コハツ?」漢字が当てられなくて塔歌に訊くと「古いに波に津軽の津」と返されたのはなぜかはっきりと記憶している。
「私は神原一葉」
言いつつ塔歌にこの子は?と訴えると察したのか驚くことを言った。
「この子ね、心情を探る力が出たの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
日和は初めての悪魔退治の仲間になった。
日和が来て、叶波と知り合って、理舒を知って、月読命と逢い、日和の幼馴染だという天音を知ったのはつい最近。姫香を拾ったのは日和と知り合うちょっと前。
一体どこで違えただろう。
どうしてこんなことになってしまっただろう。もっといい方法はなかったのか、今でも探し続けて、まだあのつらなりの悪夢から抜け出せていない気がする。



「うぁっ・・・・・」
背後で一葉のうめき声が聞こえたが、振り返っている余裕はなかった。少しでも余裕を見せればスピアリーに殺される。3人がかりで倒せないなんて、と忌々しく日和が睨んだ、スピアリーは悠然としている。
―植物の力が出きってねぇんじゃなかったのかよ。
一葉は以前、そんなことを言っていた。しかし、今スピアリーが操っているのは見たこともない力だった。
叶波はもっぱら防御役に回っていて、(音を操ろうがと心情を探ろうが防御壁は作れない)日和を守り守り日和の攻撃に加勢している状態だ。理舒は何とか音の調整をしているらしく、一度に二つ分盾を作り出すのは難儀なことだった。
「できた!」
理舒は叫んでからナイフを数本、虚空に平行に放る。スピアリーはさっと身を引いた。ナイフが地面に突き刺さる、刹那―
叶波は音を感じた。音そのものは出なかったが、はっきりと空気が揺れたのを感じた。
誰もが一瞬、声を失った。
そこに訪れた静寂に、誰もが動作を止めた。
そして、ナイフは、ゆっくりと、地面に刺さった。


日和はスピアリーから深い悲しみが漂うのを感じた。心情は相変わらず読めなかったが、はっきりとした悲しみが流れていた。
「姫香ちゃ・・・」
日和はゆっくりと姫香に近づいた。姫香は赤い瞳のまま、こちらをおもむろに振り向いたが、こちらを見ているだけで、何も言わなかった。何處も動かさなかった。
「ごめん、姫・・・」
香ちゃん、と言いかけたところで、

「姫香ちゃん!?」

姫香はにわかに表情をこわばらせた。
「姫香ちゃん、どういう・・・」
ショートカットで前髪ぱっつんの少女は立ちすくんだ。全員が一斉にそちらを見たからかもしれない。先ほどまで命の駆け引きをしていた瞳が鬼気迫っているのは致し方のないことだった。
「誰?」
叶波が遠慮ゼロの言葉を投げると、少女は名乗った。宮崎佳奈、と。
「クラスメイトです」
佳奈は息を止めた。
「・・・・・あ、の・・・・・姫香ちゃん・・・死ぬほど悪いこと・・・?」
語尾が濁された問いかけに辛そうな顔をした後、理舒は声を絞った。
「ああ」
以外とそっけなく響き、理舒は更に傷心する。
―この子は、もうわかってる・・・
大人びた表情はすべてを悟っていた。
「ごめん・・・・ごめんよ、佳奈ちゃん・・・君の手は・・・汚させないから・・・・」
佳奈ははっきりと傷ついた顔をした。泣きそうでも堪えて頷き、唇を噛んで俯いた。
日和は一筋の光をぬぐった。自分に光は似合わない、今からする行為を知る以上は。
「お願い・・・最期、一言・・・」
スピアリーは呟いた。叶波が促すように頷くと、
「・・・・・・・・・・ありがとう・・・・・・・・・・」
ぼそっと呟いた。日和は唇を嚙締め、能力を発動する。
「・・・ごめんなさい・・」
日和の言葉は何に当てられているのかはわからない。それは、日和自身わからないことであった。
「あんたも、幸せだったんだよな・・・」

スピアリーは消えた。日和の能力は心情を操れば簡単に命を消せる危うさを孕んでいるのだ。
「天音・・・・」
日和は震える手で思いっきり天音の頬を叩いた。
刹那、静寂が訪れた。



あれから佳奈と日和、一葉は大変だったらしい。日和が訊いた呻き声で一葉は気を失っていたらしい。一葉は全体のあらましを伝えると雷に打たれたように震え、涙を流したという。佳奈も一葉同様、親友を失ったショックは大きく、更に全員姫香の事を忘れていて、あの日々は幻だったのかと泣いた。
天音はあれ以来姿を現していない。
皆が一様に傷ついて終わった。
然しそれでも光は見えていたのだ。一葉はみんなの前で姫香が悪魔だと知っていたこと、魔王がいなくなって悪魔の完全消滅も近いのに悲しんだことを謝った。とりわけ後者は責任を感じているらしく、必死に話していた。
月読命はいなくなった。だが秋葉=月読命。
秋葉は「話せる範囲」と話してくれた。
瑞葉と悪魔の青年は恋に落ちて、魔境へ行ってしまったこと。
瑞葉は秋葉を殺した場を見てしまい、口封じのため殺されたこと。
その際、秋葉の力、神の力が宿ったこと。
一葉はその後、孤児院で1歳まで育ち、神原家が引き取ったこと。
実は秋葉は一葉と同じ日に生まれた双子であること。
冥冥に悲しむこと、考えること、振り返ることは有った。

日和は今、風に散る桜を見て思う。
短かった、と。姫香とあってからが夢の様に短い。特にあの日は。一瞬にしてすべてが通り過ぎて終わった。
桜の様に―。





後書き#
はい、何かとわけわからんことは多いと思います。理舒の奴何した、とか。まあBルートで色々つなげますんでご了承。
長かったです、ここまで。楽しかったです。コメントを下さった方、本当にありがとうございました。
皆さんからキャラにコメントを頂ければ、キャラが返信いたしますw
あと、近いうちキャラ投票を実施したいと思っております。
では、後一話、永くて拗れた話に付き合ってください。
では、コメント・アドバイスお待ちしています。
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