ひょうし/小説を書こう
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作:黒/6年生 男子
どこにいたって、必ず見つけるよ。


どこに隠れたって。


――――逃がさないから。






息も絶え絶えの様子で背後を見る。


もう、誰もついてきてないはずだ。


何分走っただろうか。


30分は全力で走っている。


ここなら大丈夫なはずだ。




30分ほど前に遡る。


得体の知れない、フードを被った男にこう言われた。


『久しぶりだね。』


その時点では、知り合いだと思った。


次の瞬間に、耳元で囁かれる前は。


『逃げんなよ。どこにいたって貴様を見つけてやる』


『絶対に。』


身震いが止まらなかった。


『逃げたらどうなるか、想像してご覧?』


言葉の途中で、誰もいない小さな通りへと、駆け出した。


『無駄さ。』


その言葉は、しっかりと耳に入った。


しかし、男は一切追うこともなく、スマートフォンを取り出した。






そんなことがあり今に至る。


恐らく一番地味であろう商店街の古ぼけた洋服屋のトイレの個室に身を潜める。


ただ・・・未だに奴の気配を感じる。


しばらくすると、不意にノックが響いた。


他の個室は空いているにも関わらず。


ここで、ドアを開けるわけには行かない。


膠着状態が続いていた。


『逃げても無駄って言ったよね?』


『ここに逃げ込むこと自体が罠に引っかかってんだよ』


『この先、どこへ逃げる?』


『逃げようがないだろ?』


手に持っていた携帯に力が入る。


そうだ。警察に通報すれば・・・


『無駄だよ。警察に通報するんだろ?』


『お前が捕まるだけだろ?』


一瞬、全く意味を理解出来なかった。


『遊びはここまでだ。』


瞬間、大気が揺らめいたと思うと同時に、肩に冷たい手が、あてられていた。


『お前は、しっかり償えよ。』


『まだ人生は残ってんだしさ。』


『俺の分まで生きろよ』


『人生から、運命から逃げんなよ』


飄々と的を射てない発言をする彼に思わず振り向いた。


すると、彼は一瞬驚いたような顔をし、すぐに小さく微笑んだ。


『逃げんなよ。』


その言葉が聞こえると同時に、またもや大気が揺らめき、目の前の存在が消えていた。








――――――それから数日後、警察に出頭した。


償い切れない罪を犯していた。


そして、その事実からずっと逃げていた。


その事を、あの日殺してしまった彼が、天国から教えてくれたのだろうか。


――――逃げんなよ


その言葉を深く、深く噛み締めていた。
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