ひょうし/小説を書こう
You and Rain
作:ひー/中学1年 女子


ぱた、と葉に雫が落ちる音がして、僕は本を読むのをやめた。
窓の外を見ると、細かく小さい雨がぱらぱらと降っている。ーー何故だか唐突に外に出てみたくなって、僕は傘を持って玄関を抜けた。




You and Rain




庭に咲いている紫陽花の葉に、その細かい金平糖のかけらのような雨が打ち付けている。

しばらく黙ってじっとその様子を見ていると、不意に僕の背中に見知った声が降りかかってきた。


「あれ、××くんじゃん。何してるの、そんなところで」


君は傘をさしていない。僕は問うた。


「濡れないの?」
「濡れるの、好きだし」


君は僕をみてにっこり微笑った。

傘を雨が叩いている。僕たちはしばらく沈黙していた。苦しい沈黙ではない。聴覚が、自分の鼓動の音と雨の音に侵されていく。


「…………ねぇ」


ただ微笑いながら隣に立って居る君に言った。




「君はさ、生きてるの、死んでるの?」




だって、こいつは先月死んだばかりの奴じゃないか。
でも君はやっぱり微笑いながら、そこに居る。


「ねえ、君は存在しているの?」


更に問いを重ねると、君は少し申し訳なさそうな顔をして、


「どう、だろう、なぁ。うまく答えられないなぁ」


と言った。君は自分の濡れた髪の毛を弄り、手に付いた金平糖のかけらの雨粒を眺める。


「あのさ、」


君は僕を見て言った。僕はその瞳を見つめ返す。あまりにも『人』からかけ離れた、澄んだ綺麗な瞳。


「僕さ、死んでるんだよ」


君はもう居ないから。


「知ってた」


そう返すと、少し君は目を見開いて驚いたようにしてから破顔して、


「そうか、知ってたのかぁ。まあ、そういう質問されたしね」


と呑気に言った。

雨はあがっている。虹が出ていた。
僕は傘を閉じる。


「はは、なんかこんな感じで再会できたのも、何かの運かもしれないな」


君が笑って、つられて僕も笑う。
僕は俯いていた顔をあげて、君の居るほうを見た。

居ない。

消えている。


「……なんだよ、唐突に来て唐突に帰るのかよ」


今度は一人で笑った。






ーーーーーーー虹の向こうには。





君は、いるだろうか。





ーEndー
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