ひょうし/小説を書こう
人と霊をつなぐもの
作:芯筆/6年生 女子
1ー「友達になろうよ」

「君はどうしてここにいるの?」
拓真は目の前の少年に訊いた。
「君は・・・俺が見えるの?」
少年は驚く。拓真はどういうことだろうと首を捻りつつ頷く。
「うん。どうして?」
少年は躊躇いの表情を見せていたがはっきりと話した。
「俺は、事故で・・・死んだんだよ」
「そうなの?」
拓真の声のトーンが落ちる。
「俺は、死人だから、成仏できなかった幽霊だから・・・関わらないほうが良い・・・」
「そうなの・・・?」
声のトーンが一段と落ちる。
「淋しくないの?」
「・・・」
俯いて黙った少年に拓真は声をかける。
「じゃあ、友達になろう!」
一オクターブ上がった声に少年はびくりとして顔を上げる。
「友達・・・?」
少年は一語一語をかみしめるように呟く。
「いいの・・・?」
「うん!僕は相原拓真!君は・・・?」
「俺・・・菅原佑都」
「宜しくね!」
2人は輝いていた。日々が輝いていた。輝き過ぎていた。
−翳りに誰が気が付けたろう。

2−「付き合っちゃだめよ」

佑都は2年生時、亡くなったという。ちょうど一年生の時拓真が越してきた時だから、勇人は拓真の一個上である。拓真が二年生、佑都は三年生である。

いつも通りの日の筈だった。
「行ってきます」
拓真は玄関で靴を履いてドアに手を掛けた。
「待って、拓真」
母ー彩佳が声をかけた。
「何?」
「誰に会っているの?」
「佑都君だよ」
「佑都君、友達?昼間に会いなさい」
「できないよ」
「どうして?」
「・・・死んじゃってるから」
「死?」
彩佳は驚いた声を上げた。
「行っちゃだめよ!」
彩佳は怒鳴った。拓真がびくりと見上げる。
「なんで!」
彩佳には霊感があった。小さい頃、幽霊とー思い出したくない記憶。
「ダメなものはだめよ!」
「納得できないよッ!!!」
反駁し、家を飛び出して約束場所へ走った。

3−「幼くして死ぬのは・・・罪か・・・?」

その頃、佑都である。
今日は遅い。いつもならもう笑いあっているのに。
「佑都君!」
拓真が走ってくる。
「拓真君」
「遅れてごめんね」
いつも通りの日の筈だった。ちょっと遅れただけの。
でも、何かが違った。
何かが、この日から壊れていた。

「・・・遅いなー・・・」
佑都はぼんやりと呟いた。この頃大体遅れて来る。
「家に行ってみるか・・・」
佑都はふわりと浮き上がった。
「行かないでよ!行っちゃだめよッ!!」
「やだぁッ!行くんだよ、約束だもん!」
「だめ!あなた、不謹慎だと思わないの?!幼い死者と仲良くしてるのよッ!!」
佑都は愕然とした。
−毎日こんな感じだったのか?
「畜生ッ・・・」
佑都は呻いて、ふわりと浮き上がって夜気に溶け込んだ。
「幼くして死ぬのは・・・罪か・・・?」

4−「ありがとう」
佑都はいなかった。探し回っても、いなかった。
数日間、思い続けた。
ある日走っていた。走り続けた。思い当たる場所があった。
「佑都くんっ!!!」
息は完全に上がっていたが、声の限り叫んだ。
「ゆーと・・・く・・・ん」
再び浮かされるように走り出す。
「佑都くん!」
家の前、佑都の家に来ていた。
「うわぁ!」
砂利に足が滑って転んだ。
「いったぁ・・・」
膝から血が出ている。
「うぅ・・・」
再び何とか走り出す。その時。

「拓真君?」

「佑都くん?!」
佑都は屋根にいた。
「佑都君・・・探したよ」
佑都は黙って降りてきた。
「拓真君にとって・・・僕は害かなって・・・」
「何言ってんの?!」
驚いて見つめる。
「だって・・・」
どもって呟き、俯く。
「僕・・・佑都君、大事だよ」
拓真は呟いた。佑都は拓真に抱き着いた。
「佑都君・・・?」
「ありがとう・・・ありがと・・・」
「苦しいよ」
「触れるの?!」
驚いて少し体を離す。
「うん。とても・・・暖かいよ。凄く・・・優しいよ」
心が解けていく。心が暖まっていく。満たされていく。
「僕・・・佑都君が好き」


「あれ、消えちゃった・・・?」
拓真は残念そうに呟いた。
「でも・・・」
天を仰ぐ。
「いいのかな」

少年を縛ったもの。
少年が飢えたもの。
親に捨てられて、飢えたもの。
何よりも大事な物。
忘れてはいけないもの。
皆、もっているもの・・・
少年に、足りなかったもの・・・


”愛”

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