ひょうし/小説を書こう
夏細工のビードロ
作:湊/6年生 女子
ビードロの吹き口を咥え、息を噴き出す。
ぽぴん、と涼しげな音が響いた。

「いい音だね、きれい」
君はビードロを羨ましげに覗き込む。
海の波が模様になっている、夏のビードロ。

黙ってビードロを吹いていると、きらりとそのビードロが輝いた。
窓の光が反射してビードロから色とりどりの光が飛び出している。
その中のひとすじの光が君の目に映りこんだ。

あれはいつだったか。
もう潰れてしまった駄菓子屋で見かけたビードロ。
小さな赤いリボンがついていて、子供ながらにお洒落だと思った。
アイスキャンディーを口に含みながらビードロを眺める。
今の君のように。

「おばあちゃん、これ何円?」
店の奥で座っているおばあちゃんに声をかける。
使い古してボロボロの扇風機が小さくガガっ、と音を立てた。

「それは…1500円かな」
おばあちゃんが発した言葉が予想と違って、ぞわりと背筋が伸びた。
「せ、せんごひゃくえん!?高すぎるよ!」

子供の私からすると、1500円なんていうのは結構な大金だった。今でいうと、2万円くらいの価値があったと思う…たぶん。

「これはね、本当は3000円くらいするんだよ」
それを聞いて、また驚いた。こんなに高い物なのか、びいどろというものは。
驚いて声も出せない私の肩に手を置いておばあちゃんは続ける。

「見て、ビードロの模様が朝顔とヒマワリでしょ?これは珍しい夏細工なんだよ」
言われてみると、確かに珍しそうだ。
紫と黄色が混じって、なんだかとっても高級そう。
ごくりと喉を鳴らし、ビードロに震える手を伸ばした。

そのあとは、きっともうわかるだろう。
私は6ヵ月分のお小遣いを使ってビードロを買ったんだ。
でも、そのビードロは自分で使わずに君にあげた。

プレゼントするため、なんて理由じゃなくて、ただいらなかっただけ。
駄菓子屋のおばあちゃんの作戦にひっかかってしまって買っただけだった。
それに、もうすぐ君の誕生日だったから、これをあげた。
だから、私は君にもういらないゴミをあげたってことになる。

言い方は悪いけど、真実なんだからしょうがない。

「私も持ってるんだよ、ほら、君から貰ったビードロ」
汚れたリボンの小さなビードロを君は取り出した。
でも、ガラスは綺麗に磨かれていて、大事にしてくれているとわかる。
夏ってかんじがするなぁ、と私は小さく笑った。

綺麗な終わり方じゃなかったけど、君が喜んでるんだから別にいいや。

綺麗な夏細工のビードロが、光を反射して輝いていた。
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