ひょうし/小説を書こう
朽ちゆく華に。
作:まかろん/中学2年 女子
「これだから夏は嫌なの。」

君が汗を拭った瞬間は僕の目に焼き付いた。


その瞬間から僕の時間は止まっている。







空に花が咲いた。



丁度夜の8時だった。
青色の浴衣を纏った君が夜に溶けていく気がした。

夜空が光る。

少なくとももう10分はここにいるだろう。


夜の都会は星すら見えないし、
夜にこんなに空が明るいことはここでは滅多にないからか、人が凄く集まった。


空で光が弾ける度に拍手が起こる。

小さな子達はキャーキャーと騒ぎ立て、
そこらの大人達は「綺麗だね」だとか言う。

けど君は



「うるさいなぁ。本当。」



場違いの言葉を発した。

一部の人がシーンとなったのも気にせずに。




夜空が光った。

散る光が君の目に映る。

その光が映っているはずなのにその瞳は真っ黒だった。

真っ黒で、純粋。
光すら反射しないような深い、深い黒の瞳は、僕の目には、綺麗に見えた。

息を呑む。


「綺麗だね、目。」

「…あっそ。」


僕の言葉は彼女の言葉によって綺麗に無かったことにされた。
それは、今となっては良かったことなのかもしれないと思う。


また、花火が打ち上がる。


君は目を伏せた。

「どうしたの?」

「なんでもない。」


君は顔をあげ、僕を軽く睨んだ。


「もう帰ろ。」

名残惜しそうに花火に背を向けて、君は歩き出した。

「え、まってよ。」

僕も歩き出した。

薄暗い影が足元にのびる。









「楽しかったね、今日。」

僕がそう言うと、君は空を見上げた。

「全く。」

虚ろな君の表情を見て、
僕はただ、その言葉を聞いていただけだった。何も言えなかった。

音がして、光の花が咲く。

「あー、まだうるさい。」


君は耳に手を押し当てた。

音がまた響く。


僕も耳を塞いでみた。
どくどくと手のひらの筋肉の収縮の音と血液が流れる音がした。

君の目から光が消えた。

僕だけ、取り残されたようで怖くなった。


「ねぇ、大丈夫?」

声が震えた。


「なに?聞こえない。」


君は耳から手を離した。
なぜか僕の心が軽くなった。


「で?なんか言ったの」

「なんでもない。」

「そっか。」

「うん。」


僕は驚きで息を呑んだ。


「私さ、死んだら花火になりたいや。」

殻が割れた。

君は、その時初めて美しくなかったから。
人通りの少ない道中で僕は混乱した。


「なんで?」

なんでだ?

「君は。」

僕の好きな君は。

「どこへ行ったんだ?」



考えろ。彼女を手放さない方法を。

考えろ。彼女の心に残る答えを。

考えろ。彼女の思う幸せを。


向こうからトラックが走ってくる。
車体が照らされ、銀色に光る。

__そうだ。

僕は君の手を掴んだ。


「なに?」



そして




『綺麗な君が大好きだよ』



車道に投げた。



「…え…?」

赤くて青くて白い花火が飛び散った。

君の瞳が美しかった。


___✿


_君は変だ。

変わっている。

僕と同じだ。

だけど違う。


君は美しい。

僕と違って。


嗚呼、

微笑み返す君を何処に閉じ籠めようか。
愛しい君をずっと見ていたい。

全部、僕のせいでいい。



『君が好き。』


「あっそ。」

君は耳を塞いだ。



__✿


カラカラした空気が肺に入ってくる。


「私さ、死体とか血とか、そういうの好きなの。変でしょ?」


「変じゃないよ。」


むしろ素敵だと思う。

「へんなの。」

君は猫の死体を枝でつつく。

「コイツさ、二日前に車に跳ねられてたの」

「…そうなんだ」

僕はただ、頷いた。

「どう思う?」
「どうって…普通だよ。」
「死体つついてるのに?」
「うん。」

君は不思議そうに首を傾げた。

「やっぱり変なの。」
「変じゃないよ。」
「変だよ。」

君が軽く声を張り上げた。

「…そっか。」
言葉が喉につかえた。

…僕、変なんだ。


「私と同じだね。」

「え?」

間抜けな僕の声が漏れた。

「変なとこ。」


君は笑った。




「…そっかぁ。」



僕も笑った。



__❀


「暑いね。」
「うん。暑いね。」

汗が君の頬に滴る。

「これだから夏は嫌なの。」

君が汗を拭った瞬間は僕の目に焼き付いた。


その瞬間から僕の時間は止まっている。

綺麗な君との時間で。




花火になった君を眺めた。

華は散り、枯れていった。




_朽ちゆく華に、何を想う?








【❀あとがき❀】

夏に関するものがテーマでしたので

「ハナビ」にさせていただきました。

最後まで読んで下さった方。
ありがとうございました。


謎の多い作品ですが、一応説明を。

この話は
変わってる君と僕のお話です。
もちろん名前は決まってません。

『僕』は美しさを求め。
『君』は残酷さを求める人物です。


僕と君の求める
美しくもあり、残酷でもあるモノ

それは

『花火』

美しくもあり、残酷な花火。
果てしなく魅力のあるものだと私自身も思います。

この赤い花火。
花火と称しておりますが、良く考えれば花火じゃないことは…お分かりですね?



後のことは妄想をお広げ下さい。←



自己解釈をコメント欄に書いて頂けると嬉しいです。←
おなまえはハンドルネームでいいです。
ID
パスワード 
ハンドルネームの後に(本人)をつける つけない
 ログインすると、IDなどが自動的に入ります。
お名前 
男女 女の子  男の子
学年 1年生  2年生  3年生  4年生  5年生  6年生
ようちえん  中学1年  中学2年  中学3年  大人
かんそう