ひょうし/小説を書こう
どうか。
作:ひー/中学1年 女子




君は私を覗き込みながら、微笑って。



『さてと、どこへいこうか。』







どうか。








妙に、暑い夜だ。
眠れない。まるで、昨日に閉じ込められたみたい。
ーーきっと、寝ても覚めない夜なのだろう。
こんな夜は、また君を思い出す。

『今日は、どこへいこうか?』

微笑っていた。あの時までは。
身体を病が蝕み始めていても、君は微笑っていたんだ。
ーー君から微笑みが消えたのは、いつだっただろうか?
私の言葉にも、反応しなくなっていく。「君」が「君」でなくなっていく様子が、唯々悲しくて、仕方がなくて。
君が苦しんで、頑張っているのを見ていながらも『頑張って』としか言えなかった私は、唯見ていることしかできなかった私は屑だ。

無理やりにでも目を瞑る。近くの田んぼから聞こえる、蛙の鳴き声が遠くなっていく。

『さよなら』

ああ、まただ。また、君が泣いている。その声と顔があんまり悲しくて、私も涙を流してしまう。

嘘になってしまえばいい。
ひたすらに、こう思う。
君が残していった、「さよなら」と涙が。嘘であればいい。君が苦しんでいたのも、全部が嘘になってしまえば。
ーー君は、泣かなかっただろうか?
恥ずかしい。恥ずかしくて、泣けてくる。
すべて嘘になって、すべて忘れて、戻りたい。
どうか。


******


妙に、痒い夜だ。私は、ビルの屋上の端に、立っている。
きっと、あの頃の私達は、愛に爛れていた。痛くて痛くて。君はいつだったか、私に問うた。

『僕はまだ、生きてるのかな』

今は、私が居ない君に訊きたいの。

『私はまだ、生きてるのかな』

いい。君のところへ、私が行くから。明日には、行かない。行かなくても、いい?
おとぎ話みたいに、happyendで終われば良かったのに、そう終われなかった。その続きを書く私の手も、もう汚れてしまう。

嘘になってしまえばいい。
唯々、思う。
君が零す、「さよなら」と涙が。嘘であればいい。私がこれから居なくなるのも、全部が嘘になってしまえば。
ーー私は、泣かなかっただろうか?
嘘になって。どうか。
すべて忘れて、戻りたいの。
どうか。


******


どうか。
どうか、嘘になってしまえばいい。
僕の心臓が止まったことも。君が涙を流していることも。
どうか。
どうか、泣かないで。まだ、会えないよ、僕らは。まだ、会っちゃいけない。
僕は触れることのできない君に言う。ーー多分、微笑みながら。
『またね。きっと、ここで会おう』
君は涙でぐしゃぐしゃになった顔を無理やり微笑ませて、頷く。
「ーーまた、ここで」

その時まで、おやすみ。


******


妙に、暑い夜だ。
空も、飛べそうな夜だ。
白い殺風景な天井を眺める。ーー君も、こんな風景を目にしてたんだな。
私の身体が消えた。
君が微笑う。


『さてと、どこへいこうか』






ーーEndーー
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