ひょうし/小説を書こう
夏の蝉と私と。
作:リート/中学2年 女子
あ、やってきた、やってきた。よかった〜、今年もちゃんと来てくれたー・・・。

私の幼馴染の奏多は5年前に東京っていう人がごったがえすところに出て行ったのだ。

私も憧れるけど、ここからは離れられない。奏多は1年の夏には絶対にきてくれるのだ。

ホントに良かったなー、今年も来てくれて。あ、近づいてきた―。

「ちゃんと今年も来てくれたね。」

私が笑いながらつぶやく。すると奏多が

「おそくなっちまって、ごめんなー」

といって近況を話し始めた。

「このところ、なかなか仕事はうまくいってるんだよ。ほら、前にも話しただろ?
 俺がしてる仕事はシステムエンジニアっていうやつで・・・わかんないか?
 まぁ、システムをなんていうか・・・管理する仕事って感じだな。
 とにかく、その仕事が結構いい波に乗ってるんだ。ま、それは嬉しいんだけどよ、
 休暇があまり取れなくてさー、この休暇も 何とか許可をもらってきたんだ。
 これから来る頻度は少なくなるけどさ、待っててくれよ?」

そこまで一気にしゃべりきると、奏多はあ、そうだとつぶやくと、ガサゴソと袋を漁る。

そして、一気に何かを出した。

「ほら!キキョウとカスミソウ!お前、好きだったろ?良く庭で育ててたよな?
 花壇をキキョウとカスミソウと・・・あとひまわりもあったけ?」

そういいつつ奏多は花びんにてきぱきといれ整えている。相変わらず几帳面な奴だ。

その後奏多はしばらく他愛もない話を続けていたが、ん?と腕時計を見て

「うぉわっ!やべっ!もう時間だ!もう行かなきゃ。じゃ、またくるよ」

そういってすたすたと彼は去っていく。私は去ってすっかり小さくなった背中を見ながら
今まで座っていた『墓石』から飛び降りる。が私の身体は重力に従うことなく落ちずにゆったりと漂う。
私は奏多の入れてくれたお墓参りの花に顔を近づける。私がトラックで轢かれて死んでから、
この花は恒例ともいえるほどお盆の時期にはあふれかえる。
私はふと木にとまっていたセミを見る。そのセミはしばらく鳴いていたが、急に鳴き声が止み、
ポロリと。地面に落ちた。私はそんなセミをみて私は誰言うわけでもなくつぶやく。

「人間もセミも結局のところ似てると思うんだよね。
 あっけなく死んでしまう事とかその儚さとか。」

そして私はもうすっかり点のように小さくなってしまった奏多の背中を見ながらつぶやいた。



      「またね。」



小さく陽炎が揺らめく中で。また1匹セミが儚く散った。
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