ひょうし/小説を書こう
夕暮れの夏に
作:芯筆/6年生 女子
「君が好きなんだ」
「・・・夕夏・・・」
暮れなずむ夕方、君が大好きなグラウンドでそう言ってくれたじゃないか。はにかんだいつも通りの可愛い笑顔見せて、言ってくれたじゃないか。なのに。

どうして時として運命はこんなにも残酷なんだ?

某病院の一角、チューブに繋がれて規則的な心臓音を僕にきかせている夕夏。大好きだった。ずっと好きだった。でも、夕夏からしてただの「幼馴染」であることは薄々察していたから、半ば諦めてもいた。でも、諦めきれなかった。どんな時も、夕夏が気になって仕方がなかった。授業中も、テスト中も、夢の中でもずっと想い続けた。
そして、付き合ってくれたんだ。弱い僕を選んでくれた。

ー今回だってそうだ。

元はと言えば、今回の事故だって自分が悪い。自分が、もっと気を付けていれば、こうはならなかった。でも、と頭の片隅で思う。

事故でベランダから落ちるだろうか。

夕夏の顔を見つめる。いつも「りっくん」と明るく呼んでくれた優しい笑顔も、元気な顔も、テストで落ち込んだ顔も、何もかも無かったかのように無表情だ。
「夕夏」
呼びかける。
「夕夏、何があったんだ?」
勿論、夕夏は何も言わず、答えは闇の中だった。


         #####################
翌朝、重たい体を引きずって高校へ行くと、クラスが妙にざわついていた。夕夏の事だろうと思うと、気分が余計に落ち込んだが、気にしてても仕方がない。夕夏から教わったことだった。
「悲しいときほど笑顔だよ」
「気分とは反対の行動をとるの」
「笑って。気分は後からついてくるよ」
「悲しいことは考えない。笑顔、笑顔」
夕夏の声が頭の中で響く。彼女は「笑顔、笑顔」と言っていてじゃないか。だから、無理にでも笑おう。気分は後からついてくる。
教室の異変に気が付いたのは、荷物を仕舞ってからだ。夕夏が入院・・・なのだから、もっと女子が泣いていたり、男子も暗い顔をしていたって良い。なんで、なんで。

笑顔なんだ?

夕夏が言っていた”笑顔”じゃない。皆、どす黒い笑顔だった。その時、女子グループの誰かが、甲高い笑い声を響かせながら、言った。
「早く死んじゃえばいいのに」
僕ははっとして、声の主の方を見た。
真凛だ。
真凛は少し家がお金持ちだからと言って、気取っている奴だった。僕は真凛が苦手だった。
「真凛・・・」
知らぬ間に声が漏れていた。刹那、教室が静まる。僕が大きい声をだす事がないからだろうか。自分でも大きな声が出たことに驚く。
「どういう意味だ?」
泣き声だったかもしれない。怒気を含んでいたかもしれない。僕の声は、ヒステリックに教室に響いた。30人、60個の目が僕に突き刺さる。僕はお構いなし二つだけ、少し茶色い真凛の瞳を睨んだ。
「はぁ・・・」
真凛のため息がやけに大きく響く。
「気づかなかったんだ、この鈍感は」
そう言うなり、キンキンと笑い声を響かせた。側近も笑い出す。
「気づいてないって!」
「間抜けだわぁ」
「マジうける」
笑い声の渦巻く教室で、僕はやっと意味を理解した。
          ###################
高校から直接病室に飛び込んだ僕は、夕夏に向かって聞こえていないのを承知で、声をかけた。
「ごめんな」
冷たいものが頬を一筋伝った。
「気が付かなかった」
声が自分でも抑制できない。驚くほど急に言葉が漏れた。
「ごめんな、ごめんな、夕夏は、運動もできない、得意なことが少なくて、鈍くて、つまらない掛橋陸なんかと付き合ったばかりに、つらいことになって、夕夏は、夕夏は・・・」
くっと嗚咽が漏れた。どんどん頬を伝う水が増える。
「ごめんな・・・夕夏。本当に、本当にごめん・・・夕夏は・・・夕夏は、真凛たちを恨むか?」
問いかけた。夕夏の顔を見つめていると、かすかに怒気を含んだ気がした。
「夕夏・・・そうなんだな・・・」
僕は決意を固めた。夕夏は僕を守ってくれた。とりえのない僕に、希望を与えてくれた。
今度は、僕が守る番なんだ。
「僕が守る」
涙は、止まっていた。
             #############
翌日、朝。雲が一面にかかって、どんよりとしていた。僕は気分を落ち込ませる天気に抗うように、前を向いて足を進めた。
教室のドアに手を掛け、一気にガラッと開けた。
真凛は昨日と同じ。集まってキンキン声を響かせている。
「夕夏、まだ生きてんの?早く死ねよ」
僕の中で、ナニカがぶちっと切れる音がした。
「いい加減にしろ!!」
静まり返った空間で、僕は叫んだ。


$後書き$
今回は敢えてここで留めましたが、続きが読みたいという声があれば書きます。ここからは想像にお任せしたいところですね、わざとですし。
皆さんに聞きたいんですが、こういう短編とマジカルパワー、どっちが巧いんでしょうね?私は短編小説の方がうまく書けてると思うんですが・・・

コメント、アドバイスお待ちしています!

ps:ひー様、とても頼りになるお言葉ありがとうございます。嬉しかったです(*'ω'*)
これからもよろしくお願いします。
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