ひょうし/小説を書こう
歪。ー1ー
作:ひー/6年生 女子




……僕らの恋は、歪だ。






歪。






揺れる電車の中で、僕は耳栓から流れ出る音楽を身体に取り込んでいた。

ーー居ない。

居ない、何処にも。知っている筈。知っている筈なのに。

ーー僕はまだ、君を探している。

何もかもが順風満帆、だった訳ではない。喧嘩など無かった訳ではない。すべてが幸せだった訳ではない。
それでも僕は、幸せだった。
謎だ。何でこんなに執着しているんだろう。僕は現実主義者だ。死んだ人間がこの世に戻るなんてことは有り得ない、と分かっている。なのに、だ。
鬱々と考え事をしている間に、あっという間に目的地ーーいや、目的地など無い。暇なとき、特に最近は、何をする当てもなく山手線をぐるぐるしている。

ーー僕はどうなっちまったんだ?

そう思ったら、思わず可笑しな笑みが零れる。隣に座っているOLが僕を見て、怪訝な顔をした。僕は次の駅で降りようと立ち上がる。ドアの前に立つと、不意に耳元で声が聞こえた。


『死者の国へ連れて行ってあげる』


「……!?……」
なんだ、今の。驚いて後ろを振り返り、周りを見回す。でもそこには、さっきのOLがいるだけだ。
「……まさか、ね」
有り得ない。そんな筈はない。そう、有り得ないんだ。

電車を降り、改札を通って街に出る。交差点で配られていたティッシュを受け取ってから、空を見上げる。

ーー君は今、何処に居るの?

すると、また。また、声が聞こえた。


『早く。こっちに来て。早くーーーーー』


はっきり聞こえた。女の声だ。見知らぬ女の声。
「……誰だ………?」
謎の焦燥感に追われて走り出す。それは細い路地へ続く。そこに居たのは。

ーー微笑んでいる、若い女。

『やっとーーやっと来てくれた。待ってたの』
唐突にそんなことを言う。若いーーいや、若いとも見えるが、年を取っているとも見える。服装はただのブラウスにジーパンだ。特に目立ったことは無いが、彼女は街行く人が皆思わず振り返るような、そんな魅力を持っていた。
「…………君は………」
僕がみなまで言うのを待たずに、彼女は言った。
『私は“私”であり、“私”でないの。名前は無い』
意味が分からない。彼女であり、彼女でない? どういう意味か、皆目見当がつかない。
『まあ、とにかく用件』
女は目を瞑り、すぅと息を吸うと、ゆっくりと言った。

『ーー死者の国に、いらっしゃい』

「……どういうことだよ」
女はふふと微笑う。周りに華が咲いたような笑み。
『貴方には会いたい人がいる。……違うかしら?』
そして、と言葉を継いだ。
『その人は、死んでいる。私はその人に会わせてあげる、って言ってるの』
「……!?」
信じられない。何故この女はそんなことを知っている?
『連れて行ってあげる代わりに、向こうに一日滞在するごとに、貴方の寿命を一年減らすわ。それがコストよ。……行く?』
まだ何も説明されていないのに。
僕の口は勝手に動いた。
「……行く」
『あら、すんなりね。まあいいわ。私についていらっしゃい』

僕は彼女の背中を追いかけ、更に細い路地へと足を踏み入れる。



あとがき
どうも、こんにちは、ひーです。
今回はゆのんちゃんリクエストの「死者の国に行く話(要約しすぎ)」です。続きます、一応。展開唐突で本当に申し訳ないです。
思えば、私の小説には多いですね、「『どういうことだよ』主人公」と「『訳がわかんねえよ』主人公」。みんな同じようなこと言ってますね。
コメント、アドバイスお待ちしております(^o^)

(いつもコメント見させて頂いてます。嬉しいです、すごく。なのに、コメント返せなくてごめんなさい。最近はずっと忙しかったので、これからなんとか返していこうと思います。)
おなまえはハンドルネームでいいです。
ID
パスワード 
ハンドルネームの後に(本人)をつける つけない
 ログインすると、IDなどが自動的に入ります。
お名前 
男女 女の子  男の子
学年 1年生  2年生  3年生  4年生  5年生  6年生
ようちえん  中学1年  中学2年  中学3年  大人
かんそう