ひょうし/小説を書こう
紅目と刀と少年。 ー弐ー
作:ひー/中学1年 女子


静かな月夜だった。

「………? あの、誰……」

こんな時間に出歩く奴はそうそう居ない。怪訝に思ってそう聞くと、男は笑った。

「気にすんな。ちょっくらあんたの品定めをしているだけよ。『使える』かどうか」
「……どういうことだよ」

更に聞くと、今度は男の袖口を握っていた黄金瞳(きんめ)の少年が言う。

「うるせ。黙って品定めされてろやこの餓鬼!!」

なんとも口が悪い。大体同い年くらいに見えるが、こちらを馬鹿にしたような笑みは僕を非常に苛立たせる。
無意識に刀に手をやると、向こうが少し面喰らったような顔をして、

「何だよ。やるかよ。言っとくが、お前には絶対負けねえ」

と発破をかけてきた。
いよいよ憎ったらしくなってきて立ち上がろうとすると、男が笑って少年を後ろに下げた。

「まあまあ。此奴(こいつ)はいつもこんなだから。無視しときゃあ良い。溯(サク)もあまり喧嘩を売るな」
「だって此奴がーーー」

溯、とやらが何か言おうとすると、男は溯を見下ろす。

「俺の言うことはお前にとって絶対だ。そうだろ」

僕は悟る。

ーー此奴は只者じゃない……。

何か威圧感と云うものを持っている。抗い切れない何か。見えない糸で自分を操る何か。

「まあとにかく、お前もう直ぐ(すぐ)死ぬから、『儀式』をしないと。死んだ後もこの世を彷徨う事になる」
「……!?」

男は手を矛の形に結ぶと、僕の額にそれを突き付けた。
流暢に、謎の言葉が男の口から滑り出る。


汝 死んで尚(なお)彷徨う魂よ
今を以て(もって)汝を鬼人(きじん)とす
名を京(キョウ)
読(よみ)を京(ケイ)
鬼(き)の喪章に憑かれ
我の傍(かたわら)に付け


「……急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」


その途端、僕の頭に激痛が走った。いや、頭だけじゃない。身体中(からだじゅう)が熱くて、刺されるように痛い。特に首筋が痛いのだ。熱く焼いた焼き鐺(やきごて)を押し付けられたみたいに。

「………ッあああ………ッッ………………!!!!!!」

男と少年は黙って見詰めている。なんでだ。黙って見てないで助けてくれ。

「……おい、こんなじゃ鬼(き)になる前に死ぬぜ? もしくは鬼になれなくて唯の死霊になるか…」
「……いや。こりゃあ『良いやつ』になるぞ。もう少し頑張ってくれりゃあな」

その会話の意味が全く分からない。何を言っている? 何を言っているんだ?

「おいおいおい。これ拙い(まずい)ぞ。どうすんの」
「黙ってろって……」

そのうち、まるで感覚が無くなってきたのか、痛みが少し和らいだ気がする。

「あ、こいつ意識無くなりそう。いいの、こんなので」
「ああ、これでーーーー」

そこでぷつっと何かが途切れて、僕の視界は暗くなった。



**********



「………目を覚ませ」

そんな声で目を覚ますと、そこは見知らぬあばら屋だった。日が高いのか、辺りは明るい。僕が見知らぬあばら屋に謎の男と少年と居るのも、かなり可笑しいことだが。
何より可笑しいのは、僕が手を荒縄で縛られ、猿轡(さるぐつわ)をされていることだと思う。
驚いて起き上がろうとすると、少年が飛んで来て、僕の両肩を両手で押さえた。
その少年は叫ぶ。

「……起き上がんじゃねえ莫迦!! 大人しくしてろ!!!」

こんなに怒鳴られる謂れ(いわれ)は僕には無い。僕は少なくとも、男と少年には何もしていない筈なのに。
僕の疑問を感じ取ったのか、男が硬い藁の上に横たわって居る僕を覗き込んで、微笑った。

「ーーああ、悪いな。成り立ての鬼(き)は暴走することがよくあるから。でもお前は中々出来が良い」

男は愚痴る少年を退かし(どかし)、僕の頭をわしゃわしゃと撫でてから、これは苦しいだろうから、と猿轡だけ外してくれた。
口を開こうとした僕をまあまあ、と手で制し、僕の枕元に男は座る。

「……聞きたいことは山程あるだろうが、まあ簡単に云うと、お前が鬼(き)になった、ってことだな。ーー鬼(き)って分かるか?」

僕は首を横に振る。

「鬼(き)、ってのは死霊が実体化したもの、って云えば分かるか? つまり、お前はもう死んじまってる、ってことだ」

今度は理解できたので、首を縦に振る。
すると男は笑って、

「そうか。分かるか。ーー聡い子供だな」

と、また僕の頭を撫でた。
ーーそういえば、僕は誰かに頭を撫でられたことは無かった。
何時も(いつも)独りだったから。何時も、傍らには誰も居なかったから。
男の手の平はとても温かくて、何故か気持ちが和らぐのだ。

ーーもしかしたら僕は、誰かからの愛を、何時も欲していたのかもしれない。





あとがき
どうも、こんにちは、ひーです。
壱の続きですね。おう、こりゃまたセンス皆無。なんか中途半端で終わっちゃいましたね。気力が続かなかった((←
ま、まあ、参、肆(3、4)ぐらいは続くんで、よろしくお願いします!!
京は書いてて本当に楽しいです((隠れsyotakon がんえんさんリクエストありがとうございます(^^)
まだリクエスト募集してるんで、詳しくは過去の投稿をご覧くださいね!!
コメント、アドバイスお待ちしております(^o^)
おなまえはハンドルネームでいいです。
ID
パスワード 
ハンドルネームの後に(本人)をつける つけない
 ログインすると、IDなどが自動的に入ります。
お名前 
男女 女の子  男の子
学年 1年生  2年生  3年生  4年生  5年生  6年生
ようちえん  中学1年  中学2年  中学3年  大人
かんそう